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(110) Here there and Everywhere. 2002-03-10

どんな最高の役者でさえ出来ない悲しい顔が、一人でコーヒーを飲む私の前のガラス戸棚の中にあった。
これではいけません。私が悲しむことは私に声をかけられない彼女を悲しませる事だ。

仕事を通じ、多くの新しい仲間が増えて行く幸せを充分感じなくてはならない。



ミアータ用の"Version Sachiko"の購入オーナーが名前の由来を尋ねてきた。
メールでの私の説明を読み、「ロスの夜景を見ながら食事をしよう。」などと誘ってくれた。

有難いが、そう簡単に飛んではいけない距離でもあるが..........。 もちろん丁重にお断りしたが、まさしく私は世界最高の幸せ者なのだ。



もしこのページを開けて頂いた方がいらしたら、
私ごときの勝手なたわめきに目を通して頂き、有難うございました。AWD/R.Dewa




(109) オール・マイ・ラヴィング。 2002-03-10

彼女(私の妻)と会話が出来ずにもうすでに1000日程が経過しようとしてる。
これからも出来ない。
彼女は3年と少し前に逝ってしまった。突然倒れてそのまま意識は戻らず、4日後に旅立った。



若い頃読んだある本に「生まれ変わっても"君とまた結婚したい"と言うべきだ。 (本心がそうでなくても、来世はだれもわからないのだから。)
という提言を、彼女に言ってみた。
その時は例のカンが働いたのか「フフフ。」と笑われただけの覚えがある。


その後、だいぶたってから、私は本心から言いたくなり、同じ事を言った。
彼女の答えは「そういう事は言わないものよ。」と不思議な対応だった。


近年、彼女は私に「クルマも趣味も何でもすぐ飽きるのに、私だけは飽きないのね。」と意外な言葉を言った。
今思い起こせば、彼女は私に"愛されているという実感を"確証していたと私は強く信じたい。




(108) 鋭いカン。 2002-03-09

彼女(私の妻)の家に世話になり過ぎる、という事で、私の両親が一言、挨拶のつもりで訪問した。
油断しているスキに、話はトントン拍子に進んでしまった。

もちろん私も何の躊躇もなかったのだが........。



結婚して感じたのは彼女はとにかく、カンが超スルドい。

私はウソを付かねばならない事は全くないのだが.....(多分なかったと思う.......。いや少しはあったかもしれない。)......物の見事に見透かされる。
それからは全て正直に堂々と会話が出来る行動を心掛けた。

今日あった出来事を包み隠さず(それが普通なのだが)彼女との会話を充分楽しみ
また彼女のグッドセンスなジョークに笑わせられる時間は、私にとって至福の時間になった。




(107) 説教をたれる。 2002-03-09

彼女(私の妻)とは、まだ結婚の話すら出ていないのに、始終泊まらせてもらっていた。

いつの間にか歯ブラシも並んでいる。朝は義父の特製みそ汁などをごちそうになった。
彼女の姉の彼氏とは雲泥の差の待遇であると、後から聞かされた。

私の行動もかなり軽率ではあるが、今考えるとあの厳しい義父が.......。と思うのだが、私も義父を尊敬していた。
男同士の暗黙の信頼は保持せねばならない。

と同時に両親から深く愛されている女性は真の魅力を持った女性なのだ。



と言う事で私も娘を深く愛してはいるが「女を騙すワルい男とは........」などと、
ついつい説教となってしまうが、そのワルい男とは.......

若い頃の自分を説明している私自身に気が付き、思わず赤面してしまうのだ。




(106) 職務質問。 2002-03-08

彼女(私の妻)の家に初めて訪問した時、義父の威圧感には圧倒されたものだ。
仕事の事から始まり、家族の事まで質問攻めを受ける。

デザイナーのはしくれだった私は、今思い出しても、おかしな服装と、肩まで伸ばした髪の毛は、どんな印象だったのだろうか。


なぜか気に入られて、その日は泊まる状況にもなった。
風呂も拝借し、義父のダブダブのパンツを履くハメとなった。




時は流れ、私は娘のボーイフレンドが来ると必ず「職務質問」をする。
そして、その殆どは.............再訪をしない。




(105) Venturesの♪BlueStar。 2002-03-08

彼女(私の妻)はVANのMEN's SHOPに勤めていた。
ソニービルの斜め前にあり、入るのが躊躇うほど格調の高いショーウィンドウのディスプレイは、銀座でも有名だった。

当時、原宿のデザイン学校の学生だった私は、そのMEN's SHOPの2Fにある"VAN SNACK"でアルバイトをしていた。
エレベータでぶつかったのがきっかけでの交際なのは今思い出しても奇遇なのだ。



階上と階下であっても当然話は出来ない。
そんな時、BGM用の有線スピーカーから、私の好きな"Venturesの♪BlueStar"が流れてくる。

これは銀座一帯の、全ての喫茶店を含むあらゆる店に流れているハズだ。
彼女が有線音楽のオフィスにリクエストをするのだ。

今でもロードスターのCDのTOPにはこの曲を焼いてある。




(104) 笑ってる場合ではありません。 2002-03-08

彼女(私の妻)は私を見て、大いに笑った。笑い転げた

私は本来、気管が細い様だ。ソファに寝転びテレビを見ながら......キャンディがノドにつまった。
息が出来ないほど苦しい。



彼女の部屋に駆け込み、笛の音色の様な声で必死に訴えたが、彼女は私を指差し大いに笑う
私はコレで一巻の終わりか、と思うくらい苦しかったが幸い窮地の脱出に成功した。


あの時ほどあせった事はないのだが、その話をする毎に彼女は大笑いをするのだ。




(103) 黄色い長グツ。 2002-03-08

彼女(私の妻)はデートに黄色い長グツを履いて現れた。

朝からの雨は午後には止み、夕方の時間は道路も完全に乾き、行き交う殆どの人に雨具はない。
私は大いにからかい笑ったが、しばらくして彼女の眼から大粒の涙が溢れ出たのを見て慌てた。



悪天候に無理して普通の革靴で出掛けるのは間違いであり、長グツを履くのは正しい事である。
しかも彼女はその黄色い長グツがお気に入りだったのだ。
私は大いに深く反省をし、その深さ以上の愛らしさを彼女に感じた。

雨の日には長グツを履く..............。現在これは我が家の家訓である。




(102) 良からぬ計画。 2002-03-07

彼女(私の妻)と交際時に外泊しよう、という良からぬ計画を立てた。

義父は医学博士であり、厳格であったが、彼女の両親が旅行に出掛けた夜、
家に迎えに行くと、両親の部屋に灯りがついている。



不安に思いつつも、その真上の彼女の部屋の窓にそっと小石を投げた
窓が静かに開き、ヒモにつるした手紙が降りてきた。ヒモの先には彼女が手を振っている。

暗がりの中で読むと.............両親の旅行が中止になり、外に出られない。とあった。


私は苦笑いを返し、手紙に添えられたお菓子の袋を持ち、
当時の愛車だったスカイライン2000GTBを、極力静かにスタートさせて家路についた。




(101) 愛すべき性格。 2002-03-06

彼女(私の妻)は、とびきり陽気で明るい
いやな事があった時でも、必要以上に落ち込むそぶりは殆ど見せず、逆に嬉しい時の表現は周囲を一万ボルトの明るさにする。

従っていつの頃からか、私は彼女を困らせたりする問題は、極力言わないクセが付いた様だ。
逆に、彼女が喜ぶのを眺めるのはハッピーのスーパーチャージャーというところか。



以前、銀座にある釜飯で有名な「鳥銀」に家族で食事に行った。

超美味しいこの店は、いつも超満員..........。並んで待って、ようやくテーブルに座り、
待ちに待ったヤキトリを一口食べた彼女は「なんて美味しいんでしょう!
と、天真爛漫な声を発するが、私の前には合い席で料理を待つ別のお客がいた。



そのお客は私の妻を横目で見て、返す視線で私を見た。
その視線が私と完璧に一致した.............。私は頭をかいて下を向くしかなかった。



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